建築物省エネ法

新築よりも数倍大変?!増築の時に知っておきたい省エネ法5つのポイント

建築物省エネ法における省エネ計算は新築物件に限ったものではなく、増築をする際にも新築物件と同じように、説明義務や省エネ届出、省エネ適判といった省エネ計算が必要になります。

増築が10㎡以上の場合は、既存部分を含めた建物全体で省エネ基準をクリアしなければいけません。

その時の既存部分の省エネ計算はどうするのかが大きなポイントになってきますので、その辺りをしっかり押さえながら詳しく見ていきましょう。

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ポイント①:増築の省エネ申請の見分け方

増築省エネ判定フロー

まず、建物の増築を行う場合にどの省エネ申請が必要になるかを見分けるには、増築部分の情報と合わせて既存部分の情報を図1のフローに当てはめて判定します。

フローが載っている資料はこちらからダウンロードもできます。

ポイント②:既存部分の省エネ計算の考え方

必要な省エネ申請をフローで確認して、省エネ届出や省エネ適判が必要になったら、増築後の建物全体で省エネ基準をクリアさせていくのですが、ここでポイントになるのが、既存部分の省エネ計算をどうするかです。

増築の場合は、増築する部分の省エネ性能の判定ではなく、既存部分も含めた建物全体の省エネ性能の判定になります。

そのため、既存部分の省エネ計算が行われていない場合には、既存部分は次の2パターンから選んで省エネ計算を行います。

  1. 既存部分のBEIを「1.2」として増築部分と面積按分することで既存部分の省エネ計算を省略する
  2. 既存部分の設計図書などを一式用意して、既存部分も省エネ計算を行う

既存部分の計算には、現状の図面を作成したり、調査しないと分からない場合が多いのですし、既存部分を計算すると、既存部分も完了検査の対象になるため、既存部分は計算せずに①の方法で済ませたいところです。

ポイント③:増築部分の面積が小さいほど省エネ基準のクリアが難しくなる

増築の省エネ基準は新築とは異なり、既存部分が建てられた時期によってBEI 1.1かBEI 1.0になるかが変わります。

  • 既存部分がH28年4月1日より前からある建物の場合
    省エネ基準 BEI 1.1
  • 既存部分がH28年4月1日以降に建った建物の場合
    省エネ基準 BEI 1.0

既存部分をBEI 1.2として既存部分の省エネ計算は行わずに省エネ基準がクリアできれば、完了検査も増築部分だけで済むというメリットもあるとお話ししましたが、既存部分に設定されたBEI 1.2 は省エネ基準を超えているため、その分を増築部分の省エネ性能を上げてクリアする必要があります。

そのため、増築後の建物全体の面積に占める、増築部分の面積が小さいほどに既存部分の省エネ計算が必要になる可能性が高くなります。

下の表1は既存部分の計算はせずにBEI1.2として、建物全体で省エネ基準のBEI1.1をクリアするために必要な増築部分のBEIをまとめたものです。

既存部分の面積 増築部分の面積 省エネ基準のBEI1.1を
クリアするために必要な
増築部分のBEI
1700㎡ 300㎡ BEI 0.5
1500㎡ 500㎡ BEI 0.8
1000㎡ 1000㎡ BEI 1.0

この省エネ基準クリアに必要な増築部分のBEIをクリアするのがどれくらい難しいかは建物用途によっても変わりますが、私たちのデータを見てみると、新築物件も含めたすべての建物で BEI0.5以下になった建物は全体の4%で、かなり少ないケースであることがわかります。

これがBEI0.8以下になった建物になると全体の45%になり、クリアできる可能性も大分高くなってきます。

この様に増築後の面積が同じでも、増築部分の面積の割合が小さいと省エネ基準のクリアが難しくなり、既存部分の調査や資料集めをして計算をする手間や納期、費用などが大きく変わってしまいますので、増築面積の割合もしっかり注意しておきましょう。

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ポイント④:増築部分だけ省エネ基準をクリアすればいい場合もある

省エネ届出の場合は、所管行政庁によって対応が違うことがあるため、既存部分のBEIを1.2として省エネ基準がクリアできない場合、例外的に増築部分だけ省エネ基準をクリアしていれば良いとされるケースがあります。

しかし、どこの行政庁でも認めてくれる内容ではなく、年々厳しくなっているため、既存部分を計算せずに省エネ基準をクリアできない場合には、それが分かった時点で所管行政庁に一度相談してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

  • 増築に係る省エネ計算は既存部分と増築部分を合わせた建物全体で省エネ基準をクリアしなければならない
  • 既存部分のBEIを1.2として省エネ基準をクリアできれば既存部分はそのまま計算しなくてよい
  • 増築部分の面積の割合が小さいほど、省エネ基準をクリアするのが難しくなる
  • 省エネ適判で既存部分を省エネ計算した場合は、完了検査で既存部分も検査対象になる
  • 省エネ届出の場合、所管行政庁によっては増築部分だけ省エネ基準をクリアしていれば良い
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