BELS(ベルス)とは?
BELSの概要
BELS(ベルス)*とは、建築物省エネルギー性能表示制度を示し、建築物の省エネ性能を星の数で評価・表示する制度です。※BELS=Building-Housing Energy-efficiency Labeling System
建築物の省エネ性能の評価に特化し、2014年国土交通省より国内で初めて定められた指標がBELSであり、国で定める基準以上の省エネ性能を誇る建物ということをアピールできます。
BELSの特徴
BELSには以下のような特徴があります。
- 登録評価機関による第三者評価なので信頼性が高い
- 建築物の省エネ性能が「見える化」され、専門家ではない一般ユーザーでも一目で省エネ性能がわかる
- 新築・既存、用途を問わず建物の省エネ性能に対する評価が可能
それぞれについて解説します。
第三者評価なので信頼性が高い
BELSは、国土交通省により制定された「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン(2013)」に基づき登録された第三者機関による評価であるため、建設会社やハウスメーカーによる独自の評価と比較すると非常に信頼性の高いものと言えます。
一般ユーザーでも一目で省エネ性能がわかる
BELSにより得られる省エネ性能は、星の数で評価された結果がBELSプレートに表示されるため、専門家ではない一般ユーザーでも、省エネ性能の善し悪しが一目でわかるのが特徴です。
また、BELSの表示には、省エネ性能を示す星の数の他、プレート下部にグラデーションで建物の設計一次エネルギー消費量の削減量も記載されており、左側にいくほど設計一次エネルギー消費量の削減度合いが大きいことを示します。
新築・既存を問わず建物の省エネ性能を評価可能
BELSは新築建物だけでなく既存建物に対する評価も可能であり、既存建物であっても環境配慮に対する外部アピールができることも特徴の一つです。
新しく建てる建物のみならず、既に竣工し運用されている建物にも評価のチャンスがあるということは、建物所有者にとっても非常に魅力的な制度と言えるでしょう。
BELSの評価基準と星の数
BELSの評価基準
BELSの評価は、「基準一次エネルギー消費量」と「設計一次エネルギー消費量」の2つの指標を用いて算出されるBEI(一次エネルギー消費量基準)の値によって星の数が決定します。
BEIは以下の式で表されます。
BEI = 設計一次エネルギー消費量 / 基準一次エネルギー消費量
新築される建物においては、設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量以下(BEI≦1.0)であれば、省エネ基準に適合していることになります。
BEIの計算方法
非住宅の省エネ性能は、以下の2つの計算方法から求めます。
- 標準入力法
- モデル建物法
このうち、標準入力法は精密な計算方法であり、モデル建物法はそれを簡略化した計算方法です。
どちらの計算方法でもBEIは算出でき、BELSの審査を受けられますが、簡略化されたモデル建物法は、標準入力法より計算結果が悪くなることもあります。
ただし、標準入力法によるBEIの計算は非常に手間のかかる作業のため、通常の設計業務に支障が出ないよう外注で対応することも視野に入れておきましょう。
モデル建物法でもBELSの取得はできますが、補助金の利用も考えている場合には、標準入力法を使わないとBELSを取得できないことがあるので注意が必要です。
BELSの星の数
BELSを評価する上で重要となるBEIは、その値が小さいほど省エネ性能が高く、星の数を多く取得することができます。
以下に、BEIと星の数(5段階)の関係を示します。
BELSの評価基準は、建物の用途によって異なります。
BELSが取得できる建物
BELSが取得できる建物の特徴は、以下の通りです。
- 新築・既存は問わず、全ての建築物で評価することができる
- 住宅・非住宅の用途を問わず全ての用途で取得可能
- 建築物全体だけでなく、フロア単位または部分(テナント・室などの部分)単位でも評価することができる
BELSは新築建物だけでなく、既存建物や部分単位での評価ができるため、全ての建物所有者がBELS取得を目指せることも魅力の一つです。
また、BELSは建物全体の評価だけでなく、フロア毎やテナント区画毎など、任意の部分だけで評価可能であるため、建物の所有者の意向に応じてBELS認定ができるというのが特徴です。
BELSを取得するとこんなメリット有り
BELS取得によるメリット3選
BELSを取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
BELS取得により得られるメリットには、以下の3つがあります。
- 建物利用者が健康的で快適に過ごすことができる
- 資産価値が高まり、テナント入居率・賃料上昇が期待できる
- ZEH(ゼッチ)の補助金制度の申請に活用できる
それぞれについて詳しく解説します。
1.建物所有者が健康的で快適に過ごすことができる
BELSを取得した建物は省エネ性能に優れていることから、光熱費の削減が期待できるのはもちろんのこと、
- 夏場は室内の温度上昇を抑制
- 冬場は室温を一定に保つ
このように、BELSを取得した建物では一年中快適に過ごすことができます。
また、換気設備等の性能向上に伴い、室内の空気の質が改善され、健康被害のリスクを低減することができます。
2.資産価値が高まりテナント入居率・賃料上昇が期待できる
省エネ性の高い建物は、将来的なエネルギー消費量の削減や社会的な要請に対応可能であることから、高い資産価値を保有していると評価されます。
BELS取得により資産価値の高まった共同住宅やテナント等は、入居率、賃料の上昇が期待できるでしょう。
また、省エネ性能を「見える化」することにより、環境に配慮した企業に対して投資活動を行うESG投資家にとって、「見える化」されたBELSの評価は、投資対象を決める上での重要な指標にもなるため、建物照射にとってもBELSは避けては通れない評価システムの1つとなっています。
3.ZEH(ゼッチ)やZEBの補助金制度の申請に活用できる
ZEH(ゼッチ)*を推進する取り組みの一つとして「ZEH支援事業(補助金制度)」が掲げられています。※ZEH(ゼッチ):一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目標とした住宅
これらの補助金の交付には、建築物省エネ法第7条に基づく省エネ性能表示(BELS等、第三者認証を受けているものに限る)を原則としていることが補助金申請の要件となっています。
そのため、ZEHやZEBの補助金の交付を受けるためにはBELSの評価が必須となります。
また、ZEBの補助金を取得するには、標準入力法の利用が必須であることにも注意が必要です。
ZEH、ZEBの支援事業について詳細は、環境省のサイトをご参照ください。
記事まとめ
本記事では、BELSの概要からBELS取得のメリットについて解説しました。
- 星の数が多いほど建物の省エネ性能は高い
- 新築・既存を問わずどのような建物でも評価可能
- 建物全体だけでなく、部分的な評価も可能
- BELS取得により、不動産価値の向上など多くのメリットを享受できる
将来的には、建物の省エネルギー性能が高い建物に対して、税制上の優遇措置が設けられる可能性も大いにあります。
このようにBELSの取得には、様々なメリットがあるため、不動産価値の向上を考える建物所有者はBELS取得も選択肢の一つに考えてみてはいかがでしょうか。
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