グリーン住宅ポイント制度

新しく始まったグリーン住宅ポイント制度ってなに?

2020年12月15日にグリーン住宅ポイント制度が始まりました。
みなさんはグリーン住宅ポイントのことをどれくらい知っていますか?
体制としては2021年2月から順次整っていくものではありますが、問い合わせも少しずつ増えてきましたので、このタイミングで内容を整理していっしょに理解しておきましょう。

グリーン住宅ポイント制度とは

冒頭でもふれた通り、2020年12月15日からグリーン住宅ポイント制度が実質的に始まりました。

この制度はCo2削減を目指した省エネ性能の高い住宅の普及や新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んでしまった経済回復を目的に設立されました。

そのため、対象住宅タイプも新築だけではなく、既存住宅の購入やリフォーム、賃貸住宅の新築をする人にも幅広く適応される制度となっています。

では、実際にどれくらいのグリーン住宅ポイントが発行されるのか?といいますと、新築住宅の取得でグリーン住宅ポイントを申請した場合、ある一定水準の省エネ性能を満たす住宅を購入することで30万ポイント/戸が発行されます。

さらに、高い水準の省エネ基準をクリアしたり特例条件を満たすことで最大100万ポイント/戸まで取得することができます。

どの様にグリーン住宅ポイントを取得するのか、主な発行手続きとしては、グリーン住宅ポイントの発行申請と建物の検査済証などによる工事の完了報告を行い、さらにグリーン住宅ポイントの交換申請を行うことで取得することができます。

この様な手順をふんで発行されたグリーン住宅ポイントは政府が選定した様々な商品や「新たな日常」や防災に役立つ追加工事に利用できるようになります。

グリーン住宅ポイントが発行される条件は取得する住宅タイプによって多岐に分かれていますので、それぞれのタイプごとに一つずつ見ていきましょう。

新築住宅を取得してグリーン住宅ポイントを獲得するには

新築住宅でグリーン住宅ポイントを獲得するには、取得する新築住宅は所有者が自ら居住するものでなければなりません。取得する新築住宅自体は注文住宅の新築でも新築分譲住宅の購入のどちらもグリーン住宅ポイント発行の対象になります。

グリーン住宅ポイント制度における新築分譲住宅とは、完了検査済証の発出日から1年以内の住宅で、人が住んだことがないものと定義されています。

そして建物の条件で大事になってくるのが、建物の省エネ性能の高さです。これは普段私たちが行っている省エネ計算を用いて評価を行います。

その評価結果が省エネ基準に適合していれば30万ポイント/戸、高い省エネ性能を満たしていると40万ポイント/戸のグリーン住宅ポイントが発行されます。

省エネ基準というのは「断熱等性能等級が4」で、かつ「一次エネルギー消費量等級が4以上」であることとされています。また、例外として「断熱等性能等級が4」を満たさない住宅であっても、建築物省エネ法に基づいた住宅の外皮性能基準に適合するものはグリーン住宅ポイント発行の対象となります。

また、高い省エネ性能というのは「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」「ZEH」のいずれかの性能を有する住宅であることが条件になってきます。

性能を有することを確認するために、通知書や評価書が必要になりますので、準拠していればよいというわけではなく、グリーン住宅ポイントを利用するには「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」「ZEH」のいずれかが取れている必要があります。

さらにポイントが加算される特例として次の①~④のいずれかの条件を満たすと、省エネ基準に適合した住宅には30万ポイント/戸が加算され合計60万ポイント/戸になり、高い省エネ性能を満たす住宅には60万ポイント/戸が加算され合計100万ポイント/戸が発行されることになります。

ポイントが加算される特例条件

条件不利地域を除く東京圏からの移住のための住宅

東京圏とは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の4県とし、条件不利地域は各都県ごとに下記の市区町村を対象としている。

条件不利地域


東京都・・・・・・・・・
檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村


埼玉県・・・・・・・・・
秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町、東秩父村、神川町


千葉県・・・・・・・・・
館山市、勝浦市、鴨川市、富津市、いすみ市、南房総市、東庄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町


神奈川県・・・・・・・・・
山北町、真鶴町、清川村

①に該当するためにはさらに下記のa~dまでの条件すべてをクリアする必要があります。


a.2020年12月15日以降に移住する者であること


b.移住する日から直近1年間連続して(i)か(ii)に該当する者

(i)東京23区に居住する者
(ii)東京23区内に通勤する者であること

※東京23区内に通勤する者については移住する3ヵ月前までを起算点にすることができ、条件不利地域を除く東京圏に居住しつつ東京23区内の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校等の高等教育機関へ通学し、東京23区内の企業に就職した者については、通学期間も対象とすることができる


c.移住する日から直近10年間における通算5年以上の期間についてb.の(i)(ii)に該当する者


d.移住後に5年以上継続して居住する意思があること

多子世帯が取得する住宅

2020年12月15日またはポイント発行申請時点において、18歳未満の子供3人以上と同居する者が取得する住宅。

三世代同居仕様である住宅

調理室、浴室、便所、玄関のうちいずれか2つ以上が複数箇所にある住宅で、かつ住戸内で行き来ができる住宅。

調理室(次のa~cのすべてが設置されたもの)
a.給排水設備と接続されたキッチン用水栓とキッチン用シンク
※洗面器・手洗い器はキッチン用シンクとはみなしません
b.コンロかIHクッキングヒーター
※ガス栓やIHクッキングヒーター専用の電気コンセントが設けられた設置スペースのみは不可
c.調理室用換気設備

浴室
給排水設備及び給湯器に接続されている浴槽かシャワーがあり、防水の設置がされているもの。
※浴室が2つある場合でも、脱衣所が同一の場合は1箇所と判断する

便所
大便器を有するもの。
※小便器は併設されていてもよいが、小便器のみはNG

玄関
玄関扉と室内土間があるもの
※土足の着脱スペースと収納があるものに限る
※調理室や車庫などに直接出入りするためのものや外側から施錠できない出入口(窓など)は対象としない

災害リスクが高い区域からの移住のための住宅

該当地域については地方公共団体の建築行政部局にご確認ください。

既存住宅を取得してグリーン住宅ポイントを獲得するには

既存住宅も新築住宅と同様に所有者が自ら居住する住宅を対象としています。

ここでの既存住宅とは不動産登記事項証明書に新築と記載された日付が2019年12月14日以前の住宅と定義されています。

既存住宅の購入で発行されるグリーン住宅ポイントが発行されるのは次の①~④の条件に当てはまり購入する住宅の売買契約額が100万円以上(税込み)である場合です。

空き家バンク登録住宅

空き家バンクに登録されている住宅で、地方公共団体が本制度の対象として認めた住宅を対象とする。

※対象となる空き家バンクの一覧は準備ができ次第、国土交通省のホームぺージなどで公表されます。

条件不利地域を除く東京圏からの移住のための住宅

※条件は新築住宅を取得する場合と同じ

災害リスクが高い区域からの移住のための住宅

※条件は新築住宅を取得する場合と同じ

住宅の除却に伴い購入する既存住宅

住宅を除却したものが購入する既存住宅を対象とし、既存住宅の購入者以外が住宅を除却する場合は対象となりません
2020年12月15日以降に除却したものに限る

④は単独でも15万ポイント/戸発行されますが、①~③の条件と組み合わせることもできますので、既存住宅の購入の場合では最大で45万ポイント/戸を受け取ることが可能です。

賃貸住宅を新築してグリーン住宅ポイントを獲得するには

賃貸住宅の購入では、全ての住宅が賃貸用の共同住宅であり、所有者となるものが施工者に工事を発注して新築するものを対象としています。

ここではこれまでと違い、所有者が自ら「居住してはいけない」というところがポイントになっています。

条件をまとめると

  1. 2戸以上の住宅があること
  2. 全ての住戸の床面積が40㎡以上あること
  3. 全ての住宅が賃貸用の共同住宅であること
  4. 分譲住宅や店舗併用の建物ではないこと
  5. 建築物省エネ法に基づく住宅トップランナー制度の賃貸住宅に係る基準に適合すること

これらの条件を満たすことで、10万ポイント/戸が発行されます。

リフォームをしてグリーン住宅ポイントを獲得するには

リフォームは所有者が施工業者に工事を発注して、自らが居住するリフォームを対象とします。

これまでと違うのは対象となる工事の内容ごとに細かくポイントが設定されていて、行う工事のポイントを足し合わせて5万ポイント以上にならなければポイント発行の申請が行えないことです。

そのため、ポイント発行の条件もこれまでとは違いポイント発行の上限数として記載されています。

ポイントが発行される条件

対象工事は下記の①~⑥になり、①~③のうち一つは必ず行う必要があります。

  1. 開口部の断熱改修
  2. 外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置
  4. 耐震改修
  5. バリアフリー改修
  6. リフォーム瑕疵保険等への加入

発行されるグリーン住宅ポイントは2020年12月15日時点で申請者が若者世帯か子育て世代に該当すれば
2020年12月15日以降に
100万円(税込)以上の既存住宅を購入し、売買契約後3ヵ月以内にリフォームの工事契約を行った場合、上限60万ポイント/戸、それ以外のリフォームは上限45万ポイント/戸となります。

若者世帯や子育て世帯に該当しない場合は
2020年12月15日以降に
100万円(税込)以上の安心R住宅を購入し、売買契約後3ヵ月以内にリフォームの工事契約を行った場合、上限45万ポイント/戸となりそれ以外のリフォームは上限30万ポイント/戸になります。

ここで言われる若者世帯と子育て世帯は次のように定義されています。


若者世帯・・・・・・・・・
2020年12月15日時点で申請者が40未満である世帯


子育て世帯・・・・・・・・・
2020年12月15日時点かポイント発行を申請する時点で18歳未満の子供がいる世帯

若者・子育て世帯以外の世帯で条件に入っている安心R住宅というのは、既存住宅の流通促進に向けて、「不安」「汚い」「わからない」といった従来の「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し、「住みたい」「買いたい」と思える既存住宅を選択できるような環境をつくるために国土交通省の告示によって創設された特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度です。
参考:国土交通省 安心R住宅

条件が非常に細かく設定されているので、各項目ごとに図にまとめていきます。

各部位ごとのポイント計算方法

開口部の断熱改修

開口部分のポイント数は施工の種類とその大きさで基準となるポイント数が決まり、さらに施工箇所の数をかけて算出されます。

外壁、屋根・天井又は床の断熱改修

外壁、屋根、天井又は床の断熱改修では次の表にある「断熱材の最低使用量」以上の断熱材を使用する場合に各部位ごとにポイントが発行されますので最大で192,000ポイント/戸が発行されます。

ただ、部分断熱の場合には発行ポイント数が半分になりますので、最大ポイント数は9,6000ポイント/戸になります。
表中の( )の中の数字が部分断熱の場合のポイント数や基準値になります。

※1 断熱材区分「A-1~C」と断熱材区分「D~F」の両方を使う場合は、「D~F」の使用量に「1.5」をかけたものを、「A-1~C」に足して計算することが出来ます。

※2 部分断熱の場合は間仕切り壁を含みます。

※3 部分断熱の場合、「最上階以外の天井」を断熱化した場合は、「床」の断熱材最低使用量で判断する

※4 基礎断熱の場合の最低使用量は、床の最低使用量に0.3をかけた数値で判断する

※5 基礎断熱の場合の最低使用量は、床の最低使用量に0.15をかけた数値で判断する

エコ住宅設備の設置

住宅設備の太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器はその設置台数によらず、設置を行った設備の種類に応じてポイント数が発行れます。

節水型トイレや節湯水栓は設置を行った設備の種類に応じたポイント数にその台数をかけたポイント数を算出して、それらを合計したポイント数が発行されます。

バリアフリー改修

バリアフリー工事の太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器はその設置台数によらず、設置を行った設備の種類に応じてポイント数が発行されます。

※原則として、バリアフリー改修促進税制の取扱いに準じます。

耐震改修

以下の耐震改修工事に対してポイントが発行されます。

リフォーム瑕疵保険等への加入

以下のリフォーム瑕疵保険や大規模修繕工事瑕疵保険への加入に対してポイントが発行されます。

リフォームのグリーン住宅ポイントの計算方法


①~⑥で算出したポイントを足したものがリフォームで発行されるグリーン住宅ポイントになりますが、さらに既存住宅を購入して、以下の条件をすべて満たすとポイントが2倍になります。

そのポイント数が5万ポイント以上あれば、上限に応じたグリーン住宅ポインが発行されることになります。

ポイントが2倍になる条件

  • 自ら住むことを目的に購入した既存住宅であること
  • 2020年12月15日以降に売買契約を締結したものに限る
  • 売買契約が100万円(税込)以上であること
  • 売買契約締結から3ヵ月以内にリフォーム工事の請負契約を締結する

グリーン住宅ポイントと交換できる商品や追加工事

グリーン住宅ポイントで交換できる商品や追加工事については2021年1月現在では、商品交換事業者や商品の公募選定中であるためまだ分かりませんが、おおまかに下記の様な商品や追加工事が受けられるようになります。

交換可能な商品

  1. 「新たな日常」に役立つ商品
  2. 省エネ・環境配慮に優れた商品
  3. 防災関連商品
  4. 健康関連商品
  5. 家事負担軽減に役立つ商品
  6. 子育て関連商品
  7. 地域振興に役立つ商品

交換可能な追加工事

  1. 「新たな日常」に役立つ工事
    ・ワークスペース設置工事
    ・音環境向上工事
    ・空気環境向上工事
    ・菌、ウイルス拡散防止工事
    ・家事負担軽減に役立つ工事
  2. 防災に役立つ追加工事

まとめ

「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」「ZEH」の認定を普段から受けている建物や、省エネ性能を意識しながら設計がされている建物では、施主へのプラスアルファのメリットにつながると思いますので、積極的に利用していきたい制度になるでしょう。

またはグリーン住宅ポイント制度を知った施主から、グリーン住宅ポイントを取得できるように住宅の省エネ性能を上げて欲しいという要望が出てくるのではないでしょうか。

そういったとき、自分で省エネ計算を始めて業務を圧迫していくよりも、コストパフォーマンスの高い省エネ計算代行会社に計算から、省エネ性能向上につながる最適な案の提案までしてもらうのが良いでしょう。

より多くの計算経験からあなたに合った最適な改善策がきっと見つかるはずです。

国土交通省の特設サイトはこちら

https://greenpt.mlit.go.jp/

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