建築物省エネ法

省エネ届出が受け取ってもらえない!?省エネ基準と省エネ等級3の秘密

省エネ届出が受け取ってもらえない!?省エネ基準と省エネ等級3の秘密

省エネ計算をして、省エネの届出を所管行政庁に持って行ったけど、むずかしいことを言われて「受け取ってもらえなかった。」

もしくは、受け取ってもらえたけど、省エネ基準「不適合」の印を押されて副本を返されてしまった。

など、こういった経験をされた方も多いのではないでしょうか。

なぜ、この様な事が起きてしまうのか?

それは、数年おきに改正される建築物省エネ法が目指すものと、現実のギャップにその秘密が隠されています。

今日はその秘密を、省エネ基準と省エネ等級というワードからひも解いていきたいと思います。

省エネ基準は外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準でできている

省エネ基準は断熱材や開口部、熱橋などを評価する外皮性能基準と建物全体で使われている設備の能力を一次エネルギーに変換して評価する一次エネルギー消費量基準で構成されています。

外皮性能基準は建物からの熱の逃げにくさを表すUA値と、建物への熱の入りやすさを表すηAC値を算出してそれぞれの値を基準と照らし合わせます。

UA値(外皮平均熱貫流率)

建物の内側から床、外壁、屋根や開口部などを通って外へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値で、熱損失の合計を外皮面積で割った値なので、値が小さければ熱が逃げにくく、省エネ性能が高いことを表しています。

ηAC値(平均日射熱取得率)

窓から入る日射の熱と、日射が窓以外の部分から熱伝導して入ってくる熱を評価した冷房期の指標です。

値が小さいほど建物の内側に入る日射による熱量が少なく、冷房効果が高まります。

一次エネルギー消費量の計算対象になる設備は以下のものがあり、冷暖房設備から家電までの消費量を算出した後に太陽光で作られたエネルギーを差し引いたものが一次エネルギー消費量として評価されます。

  1. 冷暖房設備
  2. 換気設備
  3. 給湯設備
  4. 照明設備
  5. 家電など
  6. 太陽光発電

一次エネルギー消費量の計算結果には外皮性能の良し悪しも影響しますので、双方をバランスよく改善することが省エネ性能の向上につながることを覚えておきましょう。

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外皮性能基準は地域区分によって異なる

省エネ基準の構造がわかってきたところで、外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準についてもう少しだけ理解を深めておきましょう。

特に、外皮性能基準は熱の出入りを評価するものなので、地域の気候を無視して評価は行えません。

そのため、外皮性能基準のUA値とηAC値の基準はそれぞれに、8つの地域区分に分けられた、地域区分ごとの基準値が設定されています。

その基準値がこちら

地域区分は北から南に向かって1地域から8地域へ、地域の特性に合わせた分類が行われています。

厳密にはかなり細かな分類が行われていますので、詳しくは国交省から出ているこちらの表をご覧ください。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/chiikikubun-sinkyuu.pdf

熱の逃げにくさを表すUA値の基準は寒い地域ほど、厳しい値が設定されています。

熱の逃げにくい建物が求められているということですね。

また、熱の入りにくさや冷房効率のよさを示すηAC値は暖かい地域側にのみ設定されている基準だということが分かります。

8地域は沖縄県ですが、こちらは設定があるものの、他の地域に比べて非常に高い値になっていますね。

一番冷房効率が求められそうな気もしますが、この基準値は、各地域の施工技術やコストなど様々な要素を勘案したもので、当初設定されていた3.2ではクリアできる住宅がほとんどなかったそうです。
(出典:NPO蒸暑地域住まいの研究会

一次エネルギー消費量基準は全ての地域で共通になります。

全ての地域で共通ですが、先にも説明しましたように、一次エネルギー消費量の計算結果には外皮の性能も影響することを注意しておいてください。

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住宅及び共同住宅で省エネ基準をクリアするとは省エネ等級4をクリアすること

省エネ基準には外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準の2つがあることを説明しましたが、実はこの省エネ基準の中には等級というものが存在します。

現在残っているのは等級4と等級3の2つがありますが、普段省エネ基準と言う場合には、省エネ等級4を指しています。

省エネ基準をクリアしているかどうかというのは、省エネ等級4の基準をクリアしているかどうかという意味で使われています。

1つ前のところで紹介した、外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準の基準値も等級4をクリアするための基準だったのです。

ではなぜ、省エネ等級4と省エネ等級3だけが残っていて、省エネ等級2や1は無いのか?

結論から言うと、平成28年の省エネ法が改正で、省エネ等級4の基準を策定したが、省エネ等級4をクリアできない住宅が多く、古い基準を緩和措置として、省エネ等級3として残したため、現在の様な形が出来上がったというわけなのです。

緩和措置としての等級3は明確に決められたものではないため、所管行政庁による見解の違い、省エネ基準をクリアしていない建物の届出には事前の確認が必要となっています。

ここでしっかり覚えておいて欲しいのは、建築物省エネ法における省エネ基準とは省エネ等級4の事であり、省エネ等級4をクリアしていない建物は、省エネ基準不適合になるということです。

省エネ基準をクリアしないと届出を受け取ってくれない所管行政庁がある

省エネ基準(省エネ等級4)をクリアしていない建物の省エネ届出を行う場合、所管行政庁によって、その対応内容が違いますので注意が必要です。

以下はこれまでに実際にあった所管行政庁による対応例です。

  1. 基準をクリアしていないと省エネ届出を受け取ってもらえない
  2. 省エネ届出は受け取ってもらえたが、副本に直接「不適合」の印が押されて返ってくる
  3. 省エネ届出は受け取ってもらえたが、副本に「不適合」の印が押された紙が添付されて返ってくる
  4. 各行政固有のルール(最低基準をクリアするなど)に沿った指示がでる

厳しいところだと、省エネ届出自体を受け取ってもらえませんし、受け取ってもらえても不適合という印が押されて返ってきます。

通常建築主にこの副本を渡すことになりますので、建築主によってはこの不適合の印をあまりよく思わないこともあるでしょう。

また、指導の強化を2021年の法改正に盛り込まれていましたので、これまで受け取ってもらえていたものが受け取ってもらえなくなることもありますので、省エネ性能の向上を心がけていきましょう。

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まとめ

省エネ基準をクリアするというのは住宅及び共同住宅では省エネ等級4の基準をクリアすることを指し、省エネ等級3でも緩和措置で受取も可能な行政も今だに多い。

等級3の様な緩和措置や対応は所管行政庁に委ねられている。

その措置や対応方法も今後の指導強化の影響で、厳しくなる可能性があり、特に年度の変わり目などは注意が必要で、省エネ基準をクリアしていない省エネ届出を行う場合には、あらかじめ所管行政庁へ対応内容の確認を行っておきましょう。

また、私たちのところでは省エネ計算の結果をもとにした、省エネ性能を上げるための診断や提案も行っていますので、省エネ計算が必要になった際には、一度お気軽にご相談ください。

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