補助金・税金関連

東京ゼロエミ住宅の新性能基準と助成金申請のポイント

東京都が推進する、東京ゼロエミ住宅は以前の記事で、世界共通の指針である温室効果ガス削減を目指して東京都が独自に設定した、東京におけるこれからの住宅の目指すべき姿であると解説しました。

まだご覧いただいていない方はこちらの記事をご連絡ださい。

5分でわかる!東京ゼロエミ住宅かんたん制度解説 東京ゼロエミ住宅とは 「東京ゼロエミ住宅」のゼロエミとはゼロエミッション(ZERO EMISSION)の略で、断熱性能の高い断熱...

東京ゼロエミ住宅はそれだけでも、標準的な住宅に比べて健康的で経済的な生活を送れる特徴がありますが、指定の機関で審査を受けて認定を取得することで、その住宅の省エネ性能に応じた助成金を受けることができるようになります。

東京ゼロエミ住宅の対象になる住宅

東京ゼロエミ住宅の対象となるのは、都内の新築住宅(戸建住宅・集合住宅等)で、床面積の合計が2,000㎡未満のものになります。

戸建住宅だけではなく、集合住宅でも助成金の取得が可能です。

取得に必要な省エネ性能や、助成金額は戸建住宅と集合住宅で異なります。

東京ゼロエミ住宅の助成金申請の流れ

東京ゼロエミ住宅の認定を取得するには、指定の審査機関へ省エネ計算書や申請書類を提出し、審査を受けます。

この時の省エネ計算とは、住宅の断熱性能を示すための外皮計算と電気や空調、換気といった設備の一次エネルギー消費量の計算の2つからなります。

また、東京ゼロエミ住宅の審査はどこの審査機関でも受けられるというわけではありません。

普段確認申請などで利用している審査機関が対応かどうかを、審査機関に問合せをしてあらかじめ確認をしておきましょう。

この記事の後半でも東京都から出ている審査機関のリストを掲載していますので、ご活用ください。

審査機関で東京ゼロエミ住宅の認定を取得で来たら、次に助成金取得のための申請を行います。

助成金の申請は「クール・ネット東京」という機関に行います。

(クール・ネット東京WEBサイト:https://www.tokyo-co2down.jp/

ここまでの東京ゼロエミ住宅の認証を受けるための「認証手続」と、助成金の交付を受けるための「助成金手続」の大まかな流れをまとめたものが下記になります。

「認証手続」と「助成金手続」の流れ
  1. 図面の作成
  2. 省エネ計算で指定の基準をクリアする
  3. 認証審査機関で「東京ゼロエミ住宅設計確認」の審査申請を行う
  4. 着工
  5. 「東京ゼロエミ住宅設計確認」が交付される
  6. クール・ネット東京に助成金の交付申請をする
  7. 認証審査機関に工事完了申請を行い「東京ゼロエミ住宅認証書」を取得する
  8. クール・ネット東京に「助成事業実績報告書」を提出する
  9. 助成金額が確定し、入金が行われる

申請を行う上で、着工前までに③の申請を行わなければいけないなど、気を付けなければいけないポイントが3つありますので下記にまとめておきます。

申請上の3つのポイント
  1. 「東京ゼロエミ住宅設計確認審査」の申請までを着工前までに行うこと
  2. 助成金の交付申請を「東京ゼロエミ住宅設計確認書」の交付から90日以内に行うこと
  3. 「助成事業実績報告書」は「東京ゼロエミ住宅認証書」が発行されてから180日以内か最終受付期限のどちらか早い日までに行う。

ここまでの流れや注意点を図にまとめると下記の図の様になります。

東京ゼロエミ住宅の助成金申請の期限

東京ゼロエミ住宅の助成金には「助成金交付申請」と「助成事業実績報告書兼交付請求書」には提出の期限が2つあります。

「助成金交付申請」の期限の1つ目は、助成金制度の期限です。

令和6年度の期限は令和6年4月1日(月曜日)から令和6年12月27日(金曜日)までとされています。

2つ目は「助成金交付申請」は「東京ゼロエミ住宅設計確認書」の交付から90日以内という申請期限です。

助成金制度の期限と申請期限の2つの期限の早い方が適用されるのでご注意ください。

「助成事業実績報告書兼交付請求書」の期限も同じ様に、助成金制度の期限と申請期限があります。

「助成事業実績報告書兼交付請求書」の期限は「東京ゼロエミ住宅認証書」の交付を受けた180日以内か、令和6年度に交付申請を行う場合は令和8年9月30日のどちらか早い日となります。

東京ゼロエミ住宅の助成金額

東京ゼロエミ住宅の助成金額は、住宅の省エネ性能によって3つのパターンが用意されています。

また、2024年の制度改正でその金額と基準の見直しが行われます。

東京ゼロエミ住宅で求められる水準が高くなり、それに合わせて助成金額もアップします。

住宅の省エネ性能については前回の記事で詳しく説明していますので、こちらも合わせてご覧ください。

(前回記事へのリンク)

省エネ性能と助成金金額をまとめたのが下記の表になります。

助成対象住宅に太陽光発電設備や蓄電池、V2Hを設置すると追加の補助を受けることができます。(リースで設置する場合も補助の対象になります)

太陽光発電設備による追加補助

太陽光発電設備は発電出力に応じて下表補助を受けることができます。

※1 小型であるなどの東京の地域特性に対応した機能を有する製品(機能性PV)を対象に、kWあたり5万円、2万円又は1万円を加算

※2 陸屋根形状のマンション等に架台を用いて設置する場合は、架台の設置経費を対象に、kWあたり20万円を上限として加算

※3 未使用品で、発電出力値の合計が50kW未満であること。

※4 オール電化住宅の場合、ゼロエミ住宅設計確認書(認証書)にオール電化への該当「有」の記載があること。

※5 発電出力値は、太陽電池システムを構成する太陽電池のモジュールの日本産業規格若しくはIECの国際規格に規定されている公称最大出力の合計値とパワーコンディショナーの日本産業規格に基づく定格出力の合計値のうち、いずれか小さい値(kWを単位とし、小数点以下第3位を四捨五入する)とします。なお、上表の額を乗じた結果、千円未満の端数が生じたときは切り捨てます。

蓄電池による追加補助

  • 蓄電池:機器費、材料費及び工事費等の3/4を助成
  • (上限額)蓄電池の合計蓄電容量に応じた次の額
  • 6.34kWh未満の場合:19万円/kWhかつ95万円/戸
  • 6.34kWh以上の場合:15万円/kWh

※6 未使用品で、【環境省戸建ZEH】の補助対象機器としてSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録済の製品であること。

※7 助成対象経費の3/4の額に千円未満の端数が生じたときは切り捨てます。

※8 蓄電池システムの蓄電容量はkWhを単位とし、小数点以下第3位を四捨五入する。

※9 複数台設置することも可能ですが、蓄電池システムの電気を使用する一住戸あたりの助成対象額の上限は、上表の助成額のいずれか小さい額になります。

※10 助成対象経費とは、機器費、蓄電池システムの設置に係る材料費及び工事費(消費税抜き)とします。申請額に千円未満の端数が生じたときは切り捨てる。

V2Hによる追加補助

V2H:機器費等の1/2を助成(上限額50万円)
※電気自動車等を所有し、太陽光発電設備を設置している場合は10/10を助成
(上限額100万円)

助成金に関する詳しい内容については「クール・ネット東京」でご確認ください。

東京ゼロエミ住宅助成金と他の補助事業との併用可否

併用できる補助金
  • 「子育てエコホーム支援事業」
  • 「地域型住宅グリーン化事業」
  • 「子育て支援型共同住宅推進事業」
  • 「東京ゼロエミポイント」(冷蔵庫の買替のみ)
  • 「東京こどもすくすく住宅供給促進事業」
併用できない補助金
  • 「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化支援事業」
  • 「次世代ZEH+実証事業」
  • 「集合住宅のCO2化促進事業(ZEH-M)」
  • 「LCCM住宅整備推進事業」
  • 「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費 補助金(給湯省エネ事業)」
  • 「東京ゼロエミポイント」(エアコン、給湯器及びLEDの買替)
  • その他東京都環境公社(クールネット東京)が実施している「太陽光発電設備」「蓄電池」「エコキュート」「エネファーム」「V2H」等に対する助成事業

東京ゼロエミ住宅を審査可能な審査機関

登録認証審査機関(令和5年10月1日現在)

認証審査機関の氏名又は名称認証審査機関の登録の有効期間
一般財団法人ベターリビング令和4年12月17日から令和9年12月16日まで
株式会社住宅あんしん保証令和4年7月20日から令和9年7月19日まで
日本建築検査協会株式会社令和6年7月8日から令和11年7月7日まで
一般財団法人さいたま住宅検査センター令和2年5月21日から令和7年5月20日まで
富士建築センター株式会社令和4年12月17日から令和9年12月16日まで
ハウスプラス住宅保証株式会社令和4年12月17日から令和9年12月16日まで
AI確認検査センター株式会社令和5年10月1日から令和10年9月30日まで
株式会社確認サービス令和4年12月17日から令和9年12月16日まで
アウェイ建築評価ネット株式会社令和4年4月20日から令和9年4月19日まで
株式会社日本住宅保証検査機構令和5年3月25日から令和10年3月24日まで
株式会社東日本住宅評価センター令和5年6月4日から令和10年6月3日まで
株式会社湘南建築センター令和元年11月16日から令和6年11月15日まで
株式会社ビルディングナビゲーション確認評価機構令和6年5月6日から令和 11 年5月5日まで
シー・アイ建築認証機構株式会社令和元年10月1日から令和6年8月10日
日本ERI株式会社令和5年3月25日から令和10年3月24日まで
株式会社神奈川建築確認検査機関令和元年10月21日から令和6年10月20日まで
株式会社高良GUT令和3年12月25日から令和8年12月24日まで
株式会社ハウスジーメン令和3年3月31日から令和8年3月30日まで
株式会社グッド・アイズ建築検査機構令和2年12月28日から令和7年12月27日まで
ユーディーアイ確認検査株式会社令和5年6月4日から令和10年6月3日まで
株式会社住宅性能評価センター令和6年7月8日から令和11年7月7日まで
日本タリアセン株式会社令和4年9月8日から令和7年1月15日まで
一般社団法人日本住宅性能評価機構令和6年8月8日から令和6年10月20日まで

まとめ

  • 助成金額は省エネ性能の高さに合わせて3パターン用意されている
  • 2024年10月1日から水準と助成金額が上がる
  • 東京ゼロエミ住宅の認証は指定の審査機関でのみ取得できる
  • 「東京ゼロエミ住宅設計確認審査」の申請は着工前に行う必要がある
  • 助成金の申請はクール・ネット東京に行う
  • 助成金の申請は着工後に行い、完成後に交付請求を行う
  • 太陽光や蓄電池などを付けると追加の補助を受けることができる
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