東京ゼロエミ住宅とは
「東京ゼロエミ住宅」のゼロエミとはゼロエミッション(ZERO EMISSION)の略で、断熱性能の高い断熱材や、省エネ性能の高い設備などを取り入れた住宅です。
断熱性が確保されることで、部屋と部屋の間の温度差や、部屋の中の天井と足元の温度差も小さくなるため、ヒートショックの予防など、そこで暮らす人の快適さの向上や健康の維持が期待されています。
また設備も、空調や給湯器等の効率が良くなることで、光熱費の削減につながります。
さらに、冬には壁や窓の表面温度が低くなりにくいため、結露が抑制され、健康を害するダニやカビの繁殖が減り、木材の腐朽や建材の劣化も防ぎ、長く住み続けることができるようになります。
「東京ゼロエミ住宅」は東京におけるこれからの住宅の目指すべき姿として、こうした住宅の断熱性能と設備の省エネ性能を定めたものになります。
東京ゼロエミ住宅をイメージ化すると以下の図のようになります。
東京ゼロエミ住宅のイメージ
東京ゼロエミ住宅事業のねらい
東京ゼロエミ住宅の制度は温室効果ガス削減を目指したもので、その背景には「2050年までにCO₂の排出を実質ゼロにする」という世界共通のゴールがあります。
東京都ではまず2030年までに温室効果ガス排出量を2000年の時点より、50%削減する「カーボンハーフ」を2021年1月に表明しており、その中の取り組みのひとつとして「東京ゼロエミ住宅」の制度が発足しました。
これには東京都内全体の温室効果ガス排出量のうち、家庭からの排出量がその内の約30%を占めていたことから、住宅の省エネ性能を向上させることで、温室効果ガスの排出量削減を実現しようという狙いがあります。
しかし、東京都内の住宅には下記の様な特徴から、太陽光発電システムなどの再エネ設備による環境性能向上への取組が進みにくい状況にありました。
- 住宅建設費が高い
- 地価も高額で狭小な土地利用が多い
- 斜線制限に伴う屋根形状
そこで東京都は、東京におけるこれからの住宅の目指すべき姿として、断熱性能と設備の省エネ性能を部位ごとの「仕様」により「見える化」した東京都独自の「東京ゼロエミ住宅」をとりまとめました。
「東京ゼロエミ住宅」が普及すると・・・
- 都内における住宅の環境性能が底上げされる
- 高性能な建材や設備が多く使われることで価格低下も期待される
- より多くの人が環境性能の良い住宅を選択しやすくなる
これにより、ますます東京ゼロエミ住宅が普及するという好循環が生まれることが期待されています。
東京ゼロエミ住宅の仕様水準の考え方
東京ゼロエミ住宅の断熱性能や設備仕様の水準は東京都の地域特性を踏まえ、その基準が設定されました。
そこでは再生可能エネルギー(太陽光発電システムによる削減量・コージェネレーション設備における売電量)を除いた住宅の省エネ性能について設定し、ZEHの判断基準よりも高い基準が設定されています。
東京ゼロエミ住宅の性能基準は3段階で設定されており、その基準をクリアすることで、東京ゼロエミ住宅の認定を受けることができ、助成金を受けることも可能になります。
助成金についてはこちらの記事をご覧ください。
東京ゼロエミ住宅の基準
東京ゼロエミ住宅の基準は2024年10月に改正されることが決まっていますので、ここでは新旧それぞれの基準をご紹介します。
2024年10月からは、現行基準の「水準1」が「水準2」に統合され「水準C」となります。
また「水準3」は「水準B」になり、さらに高い「水準A」が新たに設定されることになりました。
再エネ設備については、設置可能な住宅であれば、「容量を問わず可能な限り設置することが望ましい」とされていたものが、新基準では「太陽光発電設備等の再エネ設備が原則として設置すること」を求められるようになりました。
新基準への切り替わりのタイミング
「東京ゼロエミ住宅」の基準が新基準に切り替わるのは、「東京ゼロエミ住宅」の設計確認申請を行うタイミングが2024年10月1日以降になるものが対象になります。
東京ゼロエミ住宅の経済的メリット
東京ゼロエミ住宅にすると、高断熱な壁や窓、高効率なエアコンが採用されているなど、省エネ性能が高くなり、電気やガスなどのエネルギーの消費量を抑えることができ、光熱費を削減できます。
また、東京ゼロエミ住宅はZEHを超える性能を持つことから、東京ゼロエミ住宅の助成金と併用できる他の補助金と組み合わせることで、設備・建築費の増加額を超える経済的メリットを得ることができます。
さらに、太陽光発電を設置してエネルギーを作り出すことで、エネルギー消費量の収支が実質ゼロとなり、経済的メリットが飛躍的に高まります。
まとめ
- 東京ゼロエミ住宅はZEHを超える省エネ性能を持っている
- 「東京ゼロエミ住宅」とは東京のこれからの住宅の目指すべき姿を定義したもの
- 2024年10月1日に基準が上がる
- 2024年10月1日に「東京ゼロエミ住宅設計確認申請」を出したものから新基準の対象になる
- 国の補助金などを組み合わせると建築費の増加額を超える経済的メリットがある
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